東京高等裁判所 昭和41年(行ケ)129号 判決
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〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)
二 本件における実質上の争点が、本件審決が本件特許発明のもたらす効果が顕著であるとしたことが誤りであるか、どうかにあることは、本件における当事者双方の主張、とくに原告の主張自体に徴し明らかなところ、本件特許発明が当事者間に争いのない本件特許発明の要旨に掲げるような具体的手段をとることにより、従来のこの分野における公知の技術手段に比し、著しく反応時間を短縮しえたばかりでなく、副反応を抑制し、もつて、生成物の色相を改善し、軟化点を高め、かつ、最終製品のポリグリコール単位を少なくするという効果を挙げうるに至つたものであることは、本件特許公報の記載に徴し明らかなところであり、他にこれを左右するに足る何らの証拠資料もない。したがつて、本件審決が、これらの効果をもたらすことを目して、「顕著な効果を奏する」と認定したことは、正当であり、もとより、その判断を誤つたものとすることはできない。この点に関し、原告は、<書証>を引用して、本件特許発明のもたらす反応時間の短縮及び副反応の減少という効果は、この種の技術分野において、公知ないしは容易に予測しうる程度を出ないものである旨主張するが、前掲各証記載の発明は、被告も指摘するとおり、本件特許発明とは、いずれもその技術構成を異にするものであること各記載に徴し明らかなところであるから、それらのあるもののもたらす効果が、反応時間の短縮及び副反応の抑制の点において、本件特許発明のもたらす効果と大差がなく、あるものはそれを凌ぐものがあつたとしても、そのことから直ちに本件特許発明が、その選んだ技術的手段によつてもたらしうる前掲効果をもつて、当業者の容易に予測しうる程度であるとし、もつて、本件特許発明を当業者の容易に想到しうる程度のものと速断することはできない。けだし、ある発明のもたらす作用効果が顕著といえるかどうかは、その如何なる具体的技術によつてもたらされるかという具体的手段と切り離して考えることはできないものだからである。
(むすび)
三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法があるとして本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。
(三宅正雄 土肥原光圀 武居二郎)